
一般的な自動車とは異なり、キャンピングカーは車中泊を快適に過ごせるよう装備が整えられています。停車中でもエアコンを使えるのはもちろん、断熱処理が施された車種なら外気の影響を受けず快適に過ごすことができるでしょう。
しかし、エアコンの使用が限定される可能性もありますし、車種を問わず暑さ対策もしておく必要があるといえます。夏場にキャンピングカーを利用する予定があるなら、車中泊で熱中症を防ぐための装備やポイントを確認しておきましょう。
キャンピングカーの暑さ対策は標準装備だけでは足りない可能性がある
車中泊に特化したキャンピングカーは、夏場でも快適に過ごせるようさまざまな工夫が施されています。例えばエアコンが設置されたキャンピングカーであれば、気温の高い日でも車内で快適に過ごすことができるでしょう。断熱効果を高めたモデルも多く、シーズンを通してアウトドアを楽しめるのがキャンピングカーの魅力です。
一方、エアコンは使う場所や時間が限定される可能性もありますし、モデルによっては断熱効果が不十分という可能性もあります。キャンピングカーの暑さ対策は、標準装備だけでは足りない可能性があると考えておくのがおすすめです。
キャブコンやバンコンは断熱効果やエアコンで快適に過ごしやすい
シェルを架装するキャブコンは他のモデルより断熱性や防音性に優れているのが一般的です。シェルにFRPなどの素材を用いて、アクリル2重窓などを取り付けることにより断熱性が高められています。一方、バンコンの場合は車内の天井や壁に断熱材を使用して、快適な室内空間を追求したモデルも存在します。
いずれも家庭用エアコンなどを併用すれば、長時間の車中泊も問題なくおこなえるよう設計されているのが特徴です。断熱処理の方法はビルダーやキャンピングカーのグレードによって異なりますが、キャブコンやバンコンは夏場でも快適に過ごしやすいモデルが選びやすいといえるでしょう。
エアコンの有無に関わらずキャンピングカーの暑さ対策は必要
キャンピングカーの家庭用エアコンは、外部電源を利用することで長時間利用することが可能です。また、省電力の車載用エアコンが搭載されていれば、場所を選ばず快適な室温を保つことができるでしょう。しかし、キャンピングカーに搭載されているエアコンの稼働時間は、バッテリーの種類や電力消費量に大きく左右されます。
リチウムイオン電池やソーラーパネルを利用しても、長時間利用するというのはなかなか難しいかもしれません。予算によってはエアコンをつけるのが難しい可能性もあるのではないでしょうか。車内スペースの都合でエアコンが搭載できないパターンも含めて、車種を問わず暑さ対策をしておく必要があるといえるでしょう。
キャンピングカーの暑さ対策や搭載できるアイテム│車種を問わず利用可能
JAFのユーザーテストによると炎天下ではエンジン停止後30分で車内の温度は約45度となり、その後も上昇を続けるとされています。断熱処理が施されたキャンピングカーなら温度の上昇を抑えられるかもしれませんが、車内で過ごすのはもとより快適に就寝するのは難しいはずです。
しかし、エアコンが搭載できないキャンピングカーでも比較的手ごろな費用で暑さ対策をおこなうことができます。気温にもよりますが、車種を問わず利用できるため試験的に導入してみるのもおすすめです。「引用:真夏の車内温度(JAFユーザーテスト)」
ベンチレーターやサーキュレーターを利用して外気を取り入れる
気温の上がりきっていない時期であれば、車内の温度より外気の方が涼しいことも珍しくありません。このような状態であれば、車内の温度を循環させることで室温を下げることができる可能性があります。例えば排気と吸気機能のあるベンチレーターを利用すれば、効率よく空気の入れ替えをおこなえます。
また、サーキュレーターや扇風機などを窓付近に設置すれば、導入費用を抑えつつ暑さ対策が可能です。サーキュレーターや扇風機は簡易的な対策となりますが、USB電源も利用でき設置しやすいのがメリットでしょう。
サンシェードや遮光カーテンで日光を遮れば車内を快適にできる
サンシェードや遮光カーテンを利用しても、炎天下では車内の温度上昇を抑える効果は限定的です。断熱処理が施されていないキャンピングカーの場合、直射日光を遮るだけでは暑さ対策が不十分だといえるでしょう。一方、直射日光を遮ることでシートや金具など車内の装備が熱くなるのを防ぐことができます。
車内、特に運転席の温度上昇を抑える効果はあるため、ベンチレーターやサーキュレーターと併用することで室温を快適にできる可能性があります。車内装備の劣化防止、紫外線の防止効果もあるため検討してみるのがおすすめです。
ポータブルクーラーはコンパクトなので車種を問わず設置しやすい
ポータブルクーラーはエアコンと比較して消費電力が低く、持ち運びもできるため車種を問わず設置しやすいのが魅力です。例えば室外機を組み合わせて家庭用エアコンに匹敵する性能を持つモデルも存在します。また、車内全体を冷やすのは難しいものの、スポットクーラーはコンパクトかつUSBなどで手軽に利用できるのがメリットです。
ただし、価格は1万円(税込)以下から10万円(税込)以上と幅広く、性能・機能もメーカーによって大きく異なります。ポータブル電源が必要な製品もあるため、車種に合わせて導入を検討してみましょう。
冷感マットやネッククーラーは費用も手軽で導入しやすいのが魅力
購入費用を抑えて暑さ対策をする場合は、まず冷感グッズを試してみるのがおすすめです。
例えば車内に冷感マットを導入するだけで、体感温度を下げて寝心地をよくする効果が期待できます。また、ネッククーラーや冷却材、吸汗速乾グッズも比較的手ごろな価格で入手できるでしょう。
車内温度を下げる効果はありませんが、他の暑さ対策と組み合わせることで快適に過ごせる可能性が高くなります。冷感グッズはキャンピングカー以外でも利用できるため、少しずつ試して自分に合ったものを見つけましょう。
キャンピングカーを夏場に利用する注意点│装備以外の暑さ対策
記録的な猛暑日が続く近年の夏場は、夜間の気温が30度以上となる日も珍しくありません。キャンピングカーの基本的な装備を見直しても、気温によっては夏場のキャンピングカーの利用が難しい可能性もあるでしょう。
一方、装備やアイテムだけでなく、目的地を厳選することでも暑さ対策をすることは可能です。キャンピングカーを夏場に利用する際の基本的なポイントや注意点を確認しておきましょう。
外部電源が利用でき比較的涼しい場所を目的地にするのがおすすめ
夏場にキャンピングカーを利用する場合、目的地を厳選するのは重要なポイントです。RVパークなど外部電源のあるキャンプ場なら、エアコンや電子レンジなど消費電力の高い家電製品も自由に使用できます。キャンプ場によってはトイレや入浴施設も設置されているため、長時間の車中泊でも快適に過ごすことができるでしょう。
キャンピングカーを駐車する際に日当たりのよい場所を避ければ、さらに効果的な暑さ対策が可能です。目的地を標高の高い山間部などにすれば、エアコンを使わなくても涼しい環境でアウトドアを楽しめるのではないでしょうか。
キャンピングカーのドアや窓を開ける際は防犯や虫の侵入も対策
キャンピングカーのドアや窓を長時間上げる際は、防犯や虫の侵入に気を配る必要があるでしょう。RVパークなど一部の施設では、防犯カメラが導入され安心してキャンプを楽しめる環境が整っています。しかし、たとえ設備の整えられている場所でも個人での防犯対策は必要です。
キャンピングカーから離れる場合は短時間であっても必ず施錠をし、夜間窓を開ける際は外部からの侵入ができない小窓などに限定しておきましょう。また、夏場は虫も増えるため、網戸や害虫駆除用のグッズを利用して対策しておくのがおすすめです。
気温によってはキャンピングカーの利用を控え無理をしないことも必要
暑さ対策を十分におこなっていても、気温によってはキャンピングカーの利用を控える選択も必要となるでしょう。室温が原因で熱中症や寝不足になれば、体調不調だけでなく万が一の事故にも繋がりかねません。自身だけでなく、同乗者もいる場合は暑さによる体調管理がより難しくなるはずです。
バンガローなどの宿泊施設の利用も候補に入れつつ、キャンピングカーの利用を控えるという選択肢も考えておきましょう。宿泊施設の予約が必要な場合は、余裕を持ってスケジュールを立てておくのがおすすめです。
暑さ対策や目的地選びを徹底すれば夏でもキャンピングカー旅を楽しめる
キャンピングカーの装備や断熱処理の性能などは、モデルによって大きく異なります。たとえエアコンが搭載されているキャンピングカーでも、自発的に暑さ対策しておく必要があるといえるでしょう。
また、気温によっては夏場のキャンピングカー利用を控えるという判断も必要となります。暑さ対策や目的地選びを徹底して、夏でもキャンピングカー旅を楽しめる環境を整えてみてはいかがでしょうか。