
日本国内のキャンピングカー市場は、コロナ渦以降も順調に拡大を続けています。レジャーはもちろん、災害時やテレワークなど幅広い使い方ができるキャンピングカーは1つの文化として定着して来たといえるでしょう。
ここではキャンピングカー初心者におすすめの車種やタイプとして、バンコンを基準にする理由やメリットをご紹介しています。これからキャンピングカーの購入を検討しているという方は、選び方の参考として確認してはいかがでしょう。
日本国内のキャンピングカーはバンコンやキャブコンの人気が高い
一般社団法人日本RV協会の「年次報告書 2024」によると、2024年の日本国内のキャンピングカー生産台数は9,559台となっていました。生産台数順で見ると8ナンバーのバンコンがトップで特に人気の高いモデルとなっていることがわかります。
一方、近年は8ナンバー以外車中泊車の人気も高まっているものの、キャブコンも比較的生産台数の多いキャンピングカーとなっています。日本国内のキャンピングカーは、特にバンコンやキャブコンの人気が高いといえるでしょう。
8ナンバーバンコン | 34.7%(約3,317台) |
8ナンバー以外車中泊車 | 32.5%(約3,107台) |
8ナンバーキャブコン(フルコン、セミフルコン含む) | 19.2%(約1,835台) |
8ナンバー以外軽キャンパー | 10.5%(約1,004台) |
8ナンバーキャンピングトレーラー | 1.8%(約172台) |
8ナンバー軽キャンパー | 1.0%(約96台) |
8ナンバーバスコン | 0.3%(約29台) |
8ナンバートラックキャンパー | 0.0%(-) |
特に人気の高いバンコンは多くのビルダーが取り扱っている
バンコンは人気の高いモデルであることから取り扱っているビルダーが多いのも特徴です。知名度の高い大手はもちろん、地方に拠点を置くキャンピングカービルダーであってもバンコンを取り扱っていることは多いといえます。他のキャンピングカーより比較的入手しやすく、好みのモデルを見つけやすいのではないでしょうか。
バンコンは一般的にハイエースなどの商用車をベースとしており、一見すると普通乗用車と変わらないモデルが多いのが特徴です。一方、近年はミニバンをベースとしたバンコンも増えており、さらに選択肢が広がっているのも魅力となっています。
キャンピングカー初心者はバンコンを基準に選ぶのがおすすめ
キャンピングカー初心者であれば、バンコンを基準に好みのモデルを選ぶのがおすすめです。キャンピングカーの他のモデルと比較した際、バンコンの装備や使いやすさ、価格などは平均的になることが多いためです。例えばバンコンの乗車定員や就寝人数、価格などはキャブコンや軽キャンパーの間に位置することが一般的です。
なおキャンピングカーは同じベース車両でもビルダーによって仕様が変わりますし、モデルごとに長所・短所も異なります。利用人数や予算によっては、バンコンが基準とならないシチュエーションもあるでしょう。
モデル | 軽キャンパー | バンコン | キャブコン |
乗車定員/就寝人数 | 2人~4人 | 3人~6人 | 4人~8人 |
参考価格帯(税込) | 100万円代~400万円 | 200万円代~800万円 | 400万円代~1,000万以上 |
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キャンピングカーを初心者が選ぶ際にバンコンを基準にするメリット
初心者がキャンピングカーを選ぶ際にバンコンを基準にするメリットは、生産台数の多さ以外にも複数あります。バンコンは他のキャンピングカーと比較してベース車両が多く、装備や価格帯も幅広いのが特徴です。
装備や価格帯は軽キャンパーやキャブコンと少なからず被りますし、他のモデルを選択する際の予備知識としても役立てることができるはずです。キャンピングカーの知識が少ない初心者であれば、初めの1歩としてバンコンを検討してみるのはおすすめの方法だといえるでしょう。
ベース車両は幅広く用意されており多く普段使いしやすい
他のキャンピングカーと比較すると、バンコンのベース車両は特に種類が豊富だといえるでしょう。定番となるのはハイエースやNV200 バネットなどの商用車ですが、ビルダーによってはミニバンをベース車両としたキャンピングカーも取り扱っています。
手を加えるのは基本的に内装のみとなるため、目立ちにくく普段使いしやすいのもメリットです。なお、同じベース車両でもグレードによって車体のサイズや装備、燃費などに細かな違いがあります。ベース車両はもちろん、仕様も幅広いため初心者であっても好みの1台を見つけやすいのではないでしょうか。
メーカー | バンコンのベース車両 |
トヨタ | ハイエース、タウンエース(ボンゴ)、ノア/ヴォクシー |
日産 | NV200 バネット、キャラバン、セレナ |
ホンダ | ステップワゴン、フリード |
三菱 | デリカ |
フィアット | デュカト |
普通自動車と同じサイズ感で初心者でも安心して運転できる
バンコンのサイズ感はキャンピングカーの中でもコンパクトな部類に入ります。例えばカムロードをベースとしたキャブコンの場合、車高は2.6メートル以上となるのが一般的です。一方、バンコンの場合は車高が2メートル前後となるモデルが多く、日常的な運転や駐車でも使いやすいというメリットがあります。
また、全長や全幅もキャブコンと比較してコンパクトになっており、デイリーユースでも運転しやすいモデルが多いといえるでしょう。タウンエースやNV200 バネット、ミニバンなどがベース車両であればさらに普段使いに適したモデルを選ぶことが可能です。
ベース車両参考 | 全長×全幅×全高(ミリメートル) | 最小回転半径(メートル) |
ハイエース ワゴン(スーパーロング) | 5380×1880×2285 | 2WD:6.1 4WD:6.3 |
ハイエース ワゴン(ワイド・ロングボディ、ミドルルーフ) | 4840×1880×2105 | 2WD:5.2 4WD:5.4 |
ハイエース バン(標準・ロングボディ、ミドルルーフ) | 4695×1695×1980~1985 | 2WD:5.0 4WD:5.2 |
タウンエース バン | 4045×1665×1900 | 2WD:4.7 4WD:5.3 |
NV200 バネット | 4400~4410×1695×1850~1885 | 2WD:5.2 4WD:5.4 |
簡易的な車中泊はもちろん本格的なキャンプまで満足できる仕様
8ナンバーのバンコンは以下のような構造要件を満たして架装が施されています。
- 乗車定員の3分の1以上の大人用就寝設備がある
- 10リットル以上の水を貯められるタンクや洗面台がある
- コンロ等により炊事をおこなうことができる
トイレやシャワールームはついていないモデルも多くありますが、基本的にはキャンプを楽しむための装備が一式整えられているといえるでしょう。エアコンやFFヒーター、ベンチレーターなどが付いたモデルを選べば、季節を問わず快適にキャンプを楽しめます。なお8ナンバー以外のバンコンは装備こそ限られますが、快適な就寝設備などキャンプに適した仕様となっているのが魅力です。装備が少ない分価格も抑えられているため、簡易的な車中泊などシチュエーションによっては使いやすいキャンピングカーとなるでしょう。
装備を重視すると価格も高くなるがコスパに優れたモデルもある
バンコンの価格帯は200万円代~800万円と幅が広く、中には1,000万円を超えるモデルも存在します。ハイエースをベースとしたモデルは400万円~700万円程度が中心となりますが、ベース車両によっては400万円以下のコスパに優れたモデルも購入可能です。
基本的には装備が充実しているほど価格が高くなるため、キャンピングカーの使い方をよく確認しておく必要があるでしょう。例えば簡易的な車中泊が中心で、目的地の設備が充実しているなら8ナンバー以外の車中泊車でも十分な場合があります。日常的な利用が中心であれば、燃費などのランニングコストも合わせて確認しておくのがおすすめです。
ベース車両/ビルダー | 価格(税込) |
ハイエース スーパーロング(ガソリン)/T社 | 2WD:729万円 4WD:762万円 |
ハイエースロングワゴン GL(ガソリン)/R社 | 2WD:679万8,000円 4WD:701万6,000円 |
ハイエースロングワゴン GL(ガソリン)/N社 | 2WD:499万4,100円~ 4WD:530万4,100円~ |
タウンエース バン/R社 | 2WD:396万3,000円 4WD:424万9,300円 |
ボンゴバン DX/A社 | 2WD:404万8,000円~ 2WD:448万8,000円~ |
ノア/ヴォクシー/W社 | 330万8,000円~ |
キャンピングカーを初心者が選ぶ際に確認するポイントや注意点
初心者がキャンピングカーを選ぶ際には用途や頻度、必要な装備の取捨選択などを確認しておく必要があります。キャンピングカーの種類は豊富にあるため、たとえバンコンを基準にしても迷ってしまう場面があるかもしれません。
購入後のミスマッチを防ぐためには、バンコンを基準にしつつキャンピングカーの知識を増やしていくのがおすすめです。特に後から変更するのが難しい乗車定員についてはあらかじめ確認しておく必要があるでしょう。
乗車定員は後から変更するのが難しいので特に注意が必要
キャンピングカーに設定されている乗車定員は後から変更するのが難しいためあらかじめ確認しておきましょう。例えば購入後に乗車定員を変更する場合は改造のほか、構造変更の申請も必要となります。車両によっては乗車定員を増やすのが難しいこともあるため注意が必要です。
また、同じベース車両であっても、ビルダーやキャンピングカーのモデルごとに乗車定員や就寝人数は異なります。基本的にキャンピングカーの就寝人数は乗車定員より少なく設定されているため、シチュエーションによっては使いづらく感じることもあるでしょう。大人数での利用や長期宿泊を目的とする場合は、乗車定員や就寝人数に余裕のあるモデルを選ぶのがおすすめです。
ベース車両/ビルダー | 乗車定員 | 就寝人数 |
ハイエース スーパーロング(ガソリン)/T社 | 7名 | 4名 |
ハイエースロングワゴン GL(ガソリン)/R社 | 5名 | 3名 |
ハイエースロングワゴン GL(ガソリン)/N社 | 8名 | 3名 |
キャンピングカーの試乗やレンタルをするのもおすすめ
キャンピングカービルダーでは、展示車両の試乗サービスを実施していることが一般的です。試乗と合わせて見学や相談をおこなえば、キャンピングカー選びをスムーズに進められるかもしれません。時期によっては大型のキャンピングカーフェアも実施されているため、積極的に参加することでより多くのモデルを検討することができるでしょう。
また、一部のビルダーや全国のレンタル店ではキャンピングカーの貸し出しサービスを利用することができます。バンコンを基準にキャンピングカーを選ぶ場合でも、試乗やレンタルを活用して使用感を確かめてみるのがよいでしょう。
バンコンはキャンピングカー選びの基準になる│試乗やレンタルも積極的に活用
日本国内で人気の高いバンコンは、ベース車両や取り扱いビルダーの多いキャンピングカーとなっています。装備や価格帯の幅が広く、普段使いしやすいことからキャンピングカー選びの1つの基準とすることができるでしょう。
ただし、キャンピングカーはモデルごとに長所や短所があります。実際にキャンピングカーを選ぶ際は、各モデルの特徴も合わせて確認しておく必要があるでしょう。試乗やレンタルを活用しつつ、信頼できるビルダーを見つけるのも初心者のキャンピングカー選びには重要だといえます。