車内で電化製品を使えるようになるインバーターはキャンピングカーを快適にするために重要な装備です。ビルダーでオプションとして用意されていることも多く、他のキャンピングカー装備と比較して導入しやすいのも魅力です。
しかし、製品の種類は豊富にありますし、キャンピングカーの使い方によっては必要性を感じにくいかもしれません。インバーターについての理解を深めるため、その役割やメリット・デメリットなどについて確認しておきましょう。
インバーターにはサブバッテリーの電源を変換する役割がある
インバーターにはサブバッテリーのDC電源をAC100V電源に変換する役割があります。キャンピングカーのサブバッテリーは通常DC12V、一部DC24Vも存在しますがそのままでは家庭用電化製品を使うことはできません。インバーターを用いればキャンピングカー車内で家庭用エアコンや電子レンジなどが使用でき快適な車中泊が可能となります。
本格的なキャブコンでは、購入後すぐに電化製品を使えるようにインバーターが標準装備となっていることも多いものです。一方、ハイエースをベースとしたバンコンではインバーターがオプション扱いとなっていることも少なくありません。インバーターの導入費用は決して安いわけではないため、事前に必要性について理解しておくことが重要です。
インバーターのメリット・デメリット│電化製品を使うなら必需品
サブバッテリーとセットで使われるインバーターは電源の変換が主な役割となります。キャンピングカー車内で電化製品を使用する予定なら、オプションとして用意されているインバーターでも導入の判断をするのは難しくないでしょう。
しかし、必ずしも「電化製品を使っていればインバーターが必要」というわけでもありません。役割はシンプルでありながら費用は高額となりやすいため、購入するのを迷っているユーザーも多いのではないでしょうか。インバーターのメリット・デメリットから必要性を考えてみましょう。
コンセントが必要な電化製品を使えるのは大きなメリット
サブバッテリーと合わせてインバーターを導入すると、キャンピングカー車内で下記のような電化製品を使えるようになります。
- 家庭用エアコン
- 電子レンジなどの調理器具
- スマートフォンなどの充電
自宅と同じようにAC100Vのコンセントが必要な電化製品を使えるようになるのは大きなメリットです。DC12Vで駆動するFFヒーターや冷蔵庫などはインバーターがなくても使えますが、コンセントが必要な電化製品を使うなら必需品だといえるでしょう。
また、インバーター自体はコンパクトな製品も多く、サブバッテリーとセットで搭載しても設置場所に困らないのも魅力です。車内スペースが限られるキャンピングカーであっても比較的導入しやすいといえるでしょう。
コストがかさみメンテナンスが必要なデメリットもある
インバーターは製品の種類が豊富で、ECサイトなどを利用すれば3万円以下で購入することも可能です。しかし、サブバッテリーと合わせて導入するとある程度の費用は必要ですし、取り付け時の手間も発生します。ビルダーでの取り付けやキャンピングカー購入時のオプションとして選択すれば面倒な手間は減りますが、費用が高額となるのがデメリットです。
例えば1500W(正弦波)のインバーターであれば、ビルダーでの取り付け費用は15万円以上に設定されていることも多いものです。また、サブバッテリーとともに使用頻度の高いインバーターは定期的なメンテナンスや点検も不可欠です。ホコリや汚れの掃除、接続部分や動作の確認など少なからず手間がかかることも理解しておく必要があります。
インバーターは出力や電源の種類などに違いがある
インバーターの種類は豊富で、メーカーによって性能や品質に大きな違いがあります。シガーソケットタイプのコンパクトなものや、バッテリー充電器を備えた高性能モデルまで幅広い種類が存在します。
また、出力と電源の種類にも違いがあり、使用する電化製品に合わせて適切なインバーターを選ぶことが必要となります。インバーターの出力と電源の種類が適切でない場合、電化製品がうまく動作しないだけでなくトラブルや故障の原因となる可能性もあります。
出力は小さいもので100Wから大きいもので4000W以上
インバーターの出力は製品によって100W程度~4000W以上と幅が広く、用途に合わせて選べるのが魅力です。基本的に価格やサイズも出力に比例するため、キャンピングカーに合ったインバーターを選ぶことが重要となります。また、インバーターには下記のように2つの異なる出力が表記されていることがあります。
- 定格出力:安定して出力し続けられる電力の量
- 最大出力:瞬間的に出力できる電力の量
基本的には使用する電化製品の定格出力の合計を上回っていれば、インバーターは問題なく動作します。しかし、家庭用エアコンや電子レンジなど起動時に2倍~4倍以上の大きな電力を必要する電化製品もあるため、最大出力も考慮してインバーターを選ぶ必要があるでしょう。
出力される電気には主に正弦波と矩形波の2種類がある
インバーターから出力される電気には、主に正弦波と矩形波の2種類があります。
- 正弦波(せいげんは):一般家庭のAC100Vから出力される電源と同じ
- 矩形波(くけいは):使用できる電化製品が限られる
基本的に家庭用の電化製品は正弦波での使用を想定して作られており、矩形波では動作不良や故障などのトラブルが発生する可能性もあります。精密機器をはじめ薄型テレビや電気ポットなど、矩形波では使えない電化製品は多いため注意が必要です。この他に、波形を正弦波に近づけた「疑似正弦波(修正正弦波)」も存在しますが、矩形波と同じく精密機器などの利用には適していないとされます。
インバーターを選ぶポイント│使用する電化製品の消費電力を確認
インバーターはサブバッテリーの容量と、使用する電化製品の消費電力以上を選択するのが基本です。例えばスマートフォンや携帯ゲーム機の充電、照明程度であれば比較的消費電力が少ないため1000W以下のインバーターでも十分です。
一方、電子レンジや電気ポット、ドライヤーなどを利用する場合は1500W以上の出力の大きいインバーターが必要となります。起動時の電力消費が大きい電化製品もあるためなるべく余裕を持ったインバーターを選ぶのがおすすめです。
インバーターは正弦波1500Wを基準にするのがおすすめ
インバーターはビルダーでオプションとして提供されていることも多い正弦波1500Wを基準にするのがおすすめです。正弦波であればほとんどの電化製品を使用できますし、出力が大きければ電子レンジや電気ポット、家庭用エアコンや精密機器の充電など幅広く対応できます。
ビルダーによっては400Wなど出力の小さいインバーターがオプションとして用意されていることもあるため、電化製品の使用頻度によって選択しましょう。なお、サブバッテリーからの電力変換時に20%ほどのロスが生じるため、一度に使用できる電化製品は実際より少なくなります。可能であれば消費電力の1.5倍程度の余裕を持ったインバーターを選ぶのがおすすめです。
外部AC電源や発電機も検討して事前にビルダーに相談
ビルダーなどでオプションとして用意されているインバーターは、正弦波1500Wクラスで15万円以上となることも多いものです。自身で取り付ければ費用を抑えることはできますが、専門的な知識はもちろん手間や費用が必要となるでしょう。
ただし、使用する電化製品が少ない場合など、状況によってはインバーターが不要ということも考えられます。数日程度の旅行であればRVパークなどに設置されている外部AC電源や別途用意したポータブル電源、発電機などでも代用できるでしょう。インバーターの必要性も含めて、事前にビルダーやキャンピングカー販売店などに相談するのもおすすめです。
インバーターがあればキャンピングカーの車中泊がより快適になる
インバーターはサブバッテリーの電源を変換して、キャンピングカー車内で電化製品を使えるようにする便利な装備です。家庭用エアコンや、電子レンジなどの消費電力の大きい電化製品を使う場合は導入するメリットが大きいでしょう。
オプションはもちろん、自身で取り付ける場合でも手間や費用は必要ですがキャンピングカーをこれまで以上に快適にすることができます。ビルダーなどへの相談もおこないつつ、インバーターの導入を検討してみてはいかがでしょう。